A.まずは国内で暮らしながらできる節税対策を行うといいでしょう。
「海外にある財産には相続税が課されない」と思う人も少なくないかもしれません。
2000年の税制改正より前には、日本国籍があってもなくても、外国に住所を有する人が在外財産をもらった場合には、相続税は課されませんでした。それゆえ、子供を外国に送り出して、不動産を買い与えるという節税対策がなされていました。しかし、国税のメスが入って、在外財産を用いた節税は、実際にはできなくなりました。
ただ、5年を超えて海外に移住していて、その親が子供に対して在外財産を贈与するというケースについては、その在外財産には相続税が課されないとされています。ゆえに、「退職したら海外へ家族と移住したい」という国際派の人は、国内財産を在外財産にしておくというのも一つの選択肢でしょう。ただし、日本国籍が残ってしまう場合、5年間以上は親子とも海外に居住する必要がありますので、ホームシックにかからないよう留意しなければなりません。相続税の節税を目的として母国を捨てることは、容易ではないでしょう。
生まれ育った日本において生活しつつできる対策も少なくありませんので、そのような対策をまずは実践してみるといいと思われます。